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分け前

 "天使の分け前"
 初めてこの言葉を知ったとき、なんて素敵な表現なんだろうと思いました。ワインやウイスキーなど、長い醸造期間の間に蒸発して樽から抜けてしまった分をそう呼ぶのだそうです。作り手にとっては、売ることのできない"損失"ですが、天使が飲む分だと思えば、それは何か特別、意味のあることのように思えてきます。
 帯広は、このところの陽気で雪解けが一気に進みました。日陰の多い林の下にはまだ雪が残っていますが、それでも、冬が来る前に埋めておいたクルミを、エゾリスが掘り出すには支障のない程度のようです。どこからともなく飛び跳ねながら現れたかと思ったら、体の大きさの割にはずっと小さな手で雪を掻き分け、ちゃんと隠しておいた食糧にたどりつけるのですから、本当に驚きです。それでも、1割から2割は掘り出されずに土の中に残されるそうです。彼らにとっては損失ですが、それらはやがて芽を出し、次のクルミの木を育てることになります。埋めた本人がその新しく育ったクルミの実の恩恵を受けることは、恐らくありませんが、それでも、未来にはきっと誰かの、食料となったり、休む場所になったり、季節を知らせる場所となったりするでしょう。これも立派な分け前です。
 自分が分けてあげられるものはなんだろうな〜、と考えますが、正直まだ見つかりません。自分が多少損をしても、他の誰かが喜んで受け取ってくれるものがひとつでもあれば、何か人生が豊かになるような気がしています。

2018年04月02日

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