松ぼっくり
コブシが満開の並木道になり、市内の緑地もエゾエンゴサクの青紫の花でいっぱいです。街の中はどこを歩いても春が見つかりますが、山際の春はもう少しゆっくりです。
糸のように細い茎の先に小さな白いつぼみをつけたヒメイチゲも、気温が上がり始めるまでは顔を上げようとしません。じっと、うつむいたままで暖かくなるのを待っています。まだ主役たちが舞台に上がる前の森の中を、ゆっくりゆっくり歩きました。大きな松ぼっくりがきれいな形のまま落ちていました。オレンジ色がかった茶色に、灰色の縁取りがあります。きっと、去年の秋に落ちたものなのでしょう。雪に埋もれて冬を越したその色には、まだ瑞々しさが残っています。真上からのぞき込むと、花のようにきれいな形なので、今日は松ぼっくりをテーマにしようか、などと考えながら歩いていました。
森を抜けて明るい空を見上げると、今度はカラマツの枝に松ぼっくりがついていることに気付きました。花豆ほどの大きさの、生まれたばかりの赤ちゃん松ぼっくりです。柔らかな黄緑色はほんのりとピンクで飾られて、まさに花びらのような色合いです。こんなきれいな時期があったのですね。松ぼっくりは"秋"という既成概念がどこかへ行ってしまいそうです。他の種類の赤ちゃん松ぼっくりはどんな風なのでしょう。近いうちに、また、森歩きをしなくては!楽しみがまた増えました。
2018年04月23日
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