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地図を片手に

 もともと、旅先の本屋さんでその土地の地図を買うのが好きでした。でもそれは、お土産に絵葉書を買うのと似た感覚です。北海道中を歩き回るようになって、今度は地図を眺めるのが楽しくなりました。
 長くカーナビのない車を運転していることもあり、見知らぬ土地で頼りにするのはいつも紙の地図です。GPS精度が上がり、カーナビもスマートフォンの道案内アプリもとても便利ですが、紙の地図のいいところは、自ら道を選ぶことができるということです。
 よほどの山奥への一本道を行かない限り、目的地までの道のりは何通りもあります。この道は以前通ったことがあるから、今度はここを通ってみよう。こちらの道のほうが近いかもしれない、などと想像しながらルートを選び、実際に通ってみたらタイヤもパンクしそうなほどダートな道だった、なんていうことは珍しくありません。当然、景色の良い場所に出たらいいな、という期待をもって足を踏み入れるのですが、大半は空振りに終わり、見知った道に出た瞬間の安堵感と、ここにつながる道だったのか〜という驚きで、小さな冒険が締めくくられます。
 ナビで導かれるままに走っていたら一生通ることがないような道には、必ず、小さなわくわくと初めての心細さがついてきます。自分の選んだ道が正しかったのか間違っていたのか、いい道だったのか悪い道だったのか、道の途中で何を得るのかは、終わってみるまで分からないのです。これって、小さいけれどまさしく旅だな〜、といつも思うのです。そして、地図の上にはまだ通ったことのない道が沢山残されていて、その数だけわくわくが残されているのだと思うと、次の旅が楽しみになるのです。

2018年05月21日

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