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セミの鳴く頃

 子供の頃、夕立の後にヒグラシの声が響くようになると、夏休みの宿題の残りを思い出して焦り始めたものです。ヒグラシの鳴き声は、晩夏と結びついて記憶に刻まれているためか、ヒグラシによく似たエゾハルゼミが新緑の頃に競い合って鳴き始めると、今でも、季節を錯誤しているかのような感覚になることがあります。
 でも、近頃は初夏に鳴くエゾハルゼミもいいものだと思っています。残雪が山々の谷を美しく浮き上がらせる5月の終わり、夏日に近い気温になると、彼等は、突然、そして一斉に鳴き始めます。夏のスイッチがカチッと入った瞬間です。その声は、夕立のように強く降ったかと思うと、ふっと止んだりもします。巨大きな生き物の呼吸のように、その強弱をもって独特な音の世界を作り出し、柔らかな新緑と相まって、北海道らしい夏の空気を強烈に作り上げているのです。
 エゾハルゼミの声は、夏の終わりを急かす音ではなく、カラリと晴れた夏の始まりを促す音として、記憶を塗り替えつつあります。短い夏を逃すなよ、そう知らせてくれる声に応えるべく、本腰を入れて、太陽と緑の季節を楽しまなくてはいけません。

2018年05月28日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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