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夜明け前

 欠片と呼ぶには少し大きい氷の板が、岸辺のよどみにひとつまたひとつと流れ着いてくるのが見えました。年越し寒波の影響をほとんど受けずにいた帯広ですが、その代わり、毎朝のように気温は氷点下10度を下回っていました。この薄い氷の板が、やがてはジュエリーアイスになるのかな、そんなことを思いながら川の流れを眺めて太陽を待ちます。
 紺青の高い空には下弦の月が浮かび、地平線の緋色は少しずつ濃くなっていきます。日の出前、マジックアワーと呼ばれるこの時間の空は、優しく街を包み込みつつ、新しい一日のエネルギーがまさに溢れんとしている空です。太陽を今か今かと待ちつつも、じわりじわりと空気が張り詰めていく、そんな夜の明ける直前の時間が、一番好きな時間でもあります。
 草木が冬の間に花芽を分化させるように、ワインが何年もかけて樽の中で発酵していくように、一見、外からは見えない時間、外からは変化がないように見える時間が、内側を育てるためにはとても大切な時間です。橋の上から見た氷の板も、きっと流れていく間に、水面下で少しずつ少しずつ厚みを増し、海に出てからもぶつかって削られながら、クリスタルのような美しい結晶になっていくのでしょう。人も同じように、厳しい季節を何度も越えて、何かを得たり失ったり、大切なものを少しずつ拾い集めながら、人との絆や、その人らしさや、誇れるものの純度を上げていくのだと思います。例え、周りから見たら止まっているように見えていても構わないのです。自分の足で歩いている限りは、いつか必ず光が溢れ出るような朝にたどりつくはずだからです。
 今年はどんな一年になるでしょうか。「おぉっ!」と、皆様に驚いてもらえるような成長を、是非お見せしたいと思います。

2019年01月04日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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