高みの見物
暖かな空気を感じたかと思えば、冷たい雪の舞う日が続き、春になったのか、まだ冬なのか、毎日の空模様にそわそわとしてしまいます。近頃はすっかり姿を見かけなくなったので、てっきり、もう北へ帰ってしまったのだろうと思っていたオオワシに、偶然出会いました。思いがけず至近距離で捉えた姿に、心が高ぶってしまったのが伝わったのかもしれません。若鳥たちは早々に飛び立ってしまいました。でも、残った大人の一羽は、さすがの貫禄です。数枚、写真を撮るくらいの猶予をくれました。
以前、偶然森の中で出会った時もそうでしたが、彼等は小鳥やカモたちのように、姿が見えなくなるまで一目散に逃げるということはありません。ゆっくり、ゆっくりと、大きな円を描きながら高度を上げていくだけです。追って来る者がいないことを知っているのでしょう。こちらが観察しているつもりでいても、高みの見物をされているのは、実はこちら側なのかもしれません。気づいたときには豆粒ほどの大きさになって空を舞っている鳥たちの姿を、羨望のまなざしで見上げている自分を想像すると、確かにちょっとした見ものだな、と我ながら可笑しく思えます。
2019年03月25日
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