福良鳩
凍えるような冬、スズメたちは羽毛の間に空気をためて寒さをしのぎます。体全体がふっくらとふくらんだその姿は縁起物で、「福良(ふくら)雀」と呼ぶそうです。ならば、こちらは福良鳩、です。
衣服にまとわりつくような小ぬか雨は、降っていれば秋のような肌寒さを、降り止むと蒸し暑さを連れています。まだお盆中とは言え、1枚余分に羽織るものがほしいと思っていたのは人間達だけではないようで、偶然見つけたアオバトたちは早くも福良鳩となって、なかなか止まない雨の中に佇んでいました。
それにしても、普段は森林に暮らしているアオバトを、こんな開けた場所で4羽(写真には写っていませんが、下の枝にもう一羽メスが止まっていました)も見かけたのは初めてです。黄色の頭に赤褐色の翼、嘴や虹彩の青色はどれも上品な色遣いで、惹きつけられるものがあります。あまり姿を見せない鳥なので警戒心が強いのかと思いきや、車を降りてカメラを向けても気にする様子も見せません。と油断していたら、近づいてきた大きなアオサギに視線を向けた一瞬の隙に、どこへ飛んでいってしまったのか、影も形もなくなっていました。姿を見られただけでも縁起物、と気持ちをなぐさめつつも、でも、やっぱり、もう少しじっくり眺めてみたかったという本音も隠せません。
2019年08月16日
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