ダイヤモンドダスト
初めてダイヤモンドダストに気づいたのは、十勝へ引っ越してきてから既に数年が経った後だったように記憶しています。すっかり日が落ちた後、息苦しいような寒さの中、白いもやに包まれながら、帰り道を急いでいた時だったでしょうか。橋の上の街灯の周りが眩しいほどにきらめいていて、もやだと思っていたのが実はダイヤモンドダストだったと、初めて気づいたのです。ただその時は、あまりの寒さに、既に身体中にチクチクと刺さるような痛みを感じていて、感動を味わう余裕もなく先を急がなくてはなりませんでした。寒さの経験がまだ浅い頃だったのでしょう。"命の危険!!"と感じるほどしばれていたのです。
あれから何度も季節がまわり、十勝の冬にも大分慣れてきましたが、やはりダイヤモンドダストに出会えた日は、特別な感じがしてしまいます。それは、なかなかカメラでは捉えきれないもどかしさも加わってのことかもしれません。自分の目で見ている景色と、写真に写ったそれとは全く別のものになってしまうからです。写真の中では、ダイヤモンドダストは雪の玉のように丸くなってしまいます。それはそれで幻想的で美しいのですが、でも本物は違うんだよなぁ・・・見ようと思わなければ気づくことができないほど、塵ように小さい小さい粒が、まさにダイヤモンドのきらめきを放つのです。自分の記憶にしか留めることができない景色だからこそ、特別な存在なのかもしれません。
2020年01月27日
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