長い冬を象徴する真っ白な雪原は、大部分が姿を消しました。この冬は積雪が遅く、作物や草木の発育に影響が出るのではないかと、あちらこちらから心配の声が聞こえてきましたが、雪の融けた大地をじっくり見てみると、新しい緑がちらほらと頭を出し始めていました。積雪は早く、でも雪解けも早い方が良いのかと思っていましたが、長く雪に埋もれていた場所の方が、雪の下で青々とした葉を伸ばしていたことに気づきました。思えば、早春の植物たちは、尾を引く凍れと乾燥、そして強い風に耐えなければなりませんが、雪の下にいるうちは、そのいずれの影響も受けずに済むのです。人間にとっては時にやっかいな雪は、植物たちにとっては快適な"雪布団"なのだと改めて感じました。
　さて、一見すると晩秋の景色とさほど変わらないような早春の景色も、日に日に新緑に覆われていくことでしょう。どんなにつらい冬であっても、少しずつ新しい芽が顔を出し、鳥たちがさえずり、新しい命が生まれる春へと移り変わっていきます。光のあたたかさを、風の心地良さを、雨の潤いを、今は何よりありがたいと感じながら、毎日を過ごしていきたいと思います。

カテゴリ

今週のヒューエンス

更新日

2020-04-06

閲覧数

748