春紅葉
北海道の暮らしが長くなり、道産子と自称しても差しさわりないかも、などと密かに思っていた私も、つい最近まで、春紅葉という言葉を知りませんでした。紅葉は"秋"のものと、疑ったことがなかったからです。でも、この言葉を知ってから気をつけて見ていると、なるほど、近所のモミジやカエデが、近頃赤く染まっています。
春紅葉は、北国ならではの景色なのだそうです。夏至が近づいてきた今の時期、昼間は30度近くまで気温が上がっても、日が陰った途端に半袖では震え上がってしまうほど肌寒くなるところなどは、秋の気候にもよく似ていて、確かに北海道ならではと言えるかもしれません。
春紅葉は、枝先の若い葉だけがほんのり染まります。そして、次第に若葉色から深緑色へと変わり、夏の太陽をいっぱいに受けることになるでしょう。やがて赤が濃くなり、落葉する秋の紅葉とはそこが違います。柔らかな緑に包まれた赤は、どこか赤ちゃんの"赤"を連想させ、穏やかな気持ちにしてくれます。新緑と紅葉が一度に楽しめるなど、これまで気づかなかった時間が長すぎて、随分と損をしていた気がします。
2020年06月08日
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