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カシワの林

 白い雲が空を覆っていた日曜日、左手に日高山脈の北の端を望みながら走っていると、カシワの林を見つけました。瑞々しい葉をつけた木々が立ち並ぶ林は、あいにくの空模様の下でも明るく、カッコウやアカゲラ、ヒバリやヤマシギの声が競い合うように降っていました。こんな立派なカシワの林を見つけたのは何年ぶりだったでしょうか。もちろん、カシワの生えている混交林はあちこちにありますが、純林と言える林を見たのが久しぶりだったのかもしれません。
 カシワの林には多くの植物や昆虫が暮らしています。ササばかりに見える林床にもスズランが生えていたり、ふかふかの落ち葉の下には飛ぶことを選択しなかった虫たちが沢山暮らしていたり。子供の頃に、こんな林が近くにあったら、そんな生き物たちを追いかけて、一日中でも遊んでいられただろうな、と思います。
 カシワは冬の間も枯れた葉を落とすことがないため、縁起物とされている一方で、雪国では防風林として重要な役割も担っているそうです。だからなのでしょうか、十勝管内の半分の自治体が、カシワを町や村の木として指定しています。十勝の象徴でもあったのかと、今更ながらその存在の大きさを知りました。

2020年06月22日

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