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冬の訪れ

 立冬が過ぎ、今朝も雪混じりの雨が降っていましたが、それでもまだ、冬のスイッチがオンになっていないような感じがします。冬の香りが弱いのです。マスクのせいで感じにくいということもあるかもしれませんが、季節が凝縮される朝の空気でさえ、まだ秋が優勢です。そう言えば、冬の香りの正体は何なのでしょう。もちろん、雪が降りそうな日は、雪のにおいを感じることもあります。でも、それとは別に感じる、あの鼻の奥をキンと刺激するものの正体を、じっくり考えたことがありませんでした。
 冬の訪れが、他の季節よりも特別だと感じるのは、やはりここが北国だからです。一年の約半分を、雪や氷に囲まれて暮らすのですから、当然のことなのです。でも、冬は長いのに、見たいものに出会える時間は、思いのほか短いのです。凍った青い湖を見渡せるのは、雪に閉ざされるまでの1週間かそれとも数日か、運次第。霧氷に覆われた木々を見られるのは朝の数時間。大雪の夜、煌々とライトをつけた除雪機がずらりと並ぶのも数時間。いざ冬がやってきたとなったら、待ったなしに訪れるチャンスに、大忙しになるでしょう。そう、冬が道草を食っているうちに、私は靴紐をしっかり締め直しておかなければならないのです。

2020年11月9日

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