おでん
大根のおすそわけを沢山いただきました。さて、どう美味しくいただこうかと考えた時、この冬は、まだおでんを食べていないことを思い出しました。
大根をくつくつと下茹でしながら、昆布と鰹節で一番出汁を、続けて二番出汁もひき始めます。下茹でには時間がかかるので、その間に出汁が取れるだろうと思っていましたが、火加減に注意しながら丁寧に進めていると、大根の方がずっと早く茹であがってしまいました。
味付けは、いつも目分量です。調味料を加えただけでは"おでん"の味にはならず、半信半疑というか微妙な心持ちで大根やちくわ、こんにゃくやらを並べていきます。それでも、煮込んでいるうちに、不思議とちゃんとおでんの味に落ち着きます。結局のところ、味付けの腕よりも、食材からの出汁で美味しくできあがるんだなぁと、いつも感心してしまうのです。
"出汁をひく"と言う言葉は、うまみを"ひきだす"から来ていると聞きました。昆布も鰹節も、力づくで、ぐつぐつと煮立てれば旨味が沢山出てくるわけではなく、雑味を抑えて、美味しさだけを引き出す方法がちゃんと決まっています。人もきっと同じですね。いいところを引き出す方法は、その人ごとに違うのでしょう。そして、皆がいいところを上手に出し合えれば、調和のとれた魅力的な集団になっていくように思います。ついでに自分も、周りの旨味をたっぷり吸い上げた大根のようになれたらいいなあ、などと、熱々をほおばりながら思うのです。
2021年03月01日
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