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風を得て

 明け方の雪もほどなく雨に変わり、積みあがった雪山をじわりじわりと小さくしていきました。南方で冬を過ごした鳥たちが再び北海道へやってくる頃になり、空も賑やかになり始めました。夜でも白鳥の声が響いてきます。雪原で眠っている鳥たちは、十勝に到着したばかりなのでしょう。
 光が差し始め、暖められた地上の空気は、オジロワシを上空へと誘います。翼を大きく広げ、羽ばたくこともしないまま、らせんを描きながらみるみる太陽に近づき、最後には空と一体になってしまいました。彼らは、どのくらいの高さまで昇ることができるのでしょうか?天気予報では、降雪の目安として上空1500メートルや5500メートルの寒気を見るそうですが、鳥たちは、実際に上空の温度を感じて、天気を予測しているのかもしれない、などと想像してみたりします。
 人は、鳥の翼を研究し、飛行機という移動手段を手に入れました。飛行機に乗れば、アルプスを越えることも、太平洋を渡ることもできます。でも、アルプスの冷たく乾いた風も、太平洋上のぎらぎらした日差しも、直接肌で受けることはできません。身一つで飛ぶ感覚は、やはり遠い存在のままです。そんなことを考えていたら、一歩一歩雲へ近づきながら、山肌を吹き上がる風を受ける、あの感覚が恋しくなり始めました。自力で飛ぶことはかなわなくても、歩いて感じられる空気も、なかなか良いものなのです。

2021年03月15日

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今週のヒューエンス
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