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如月

 この冬は冷え込む日が多く、明け方、寒さで目が覚める日も少なくありませんでした。ダイヤモンドダストを見た朝も、いつもの冬より多かったように思います。その反動か、昼間の最高気温が0.5℃や1℃と、少しでもプラスになると、もう春でも来たかのように暖かく感じてしまいます。
 2月4日の立春を過ぎると、以前は「暦の上では春」などと言い添えることが多くありました。一年で最も寒い月は2月、というのはここでは誰もが実感として持っている感覚で、春には一番遠い時期だからです。でも、近頃は、この暦を作った先人たちの観察眼は本当にすごいものだと感じるようになりました。小鳥たちは、私たちが極寒と呼ぶ2月には、もうペアを求めてさえずりを始めています。梅の花が咲くよりもずっと早くから、鳥たちの春は始まります。そして、木々の枝も、もう少しずつ伸び始めています。紅に染まったケショウヤナギの冬芽は、その色を一層鮮やかにしているように見えます。暖房の効かない部屋で保管しているジャガイモでさえ、もうニョキニョキと芽が出始めているのですから、彼らも既に、春へと動き出しているのです。
 生き物たちの春は、きっと、どの季節よりも大切なものです。それは、次の世代へ命をつなぐことができるかどうかにかかわるからです。寒さが抜けて、本当に暖かくなってから準備を始めたのでは、子供を巣立ちさせることや、実った種を飛ばすのに、十分な時間を得ることはできません。夏の短い北国では、それがより厳しいものであるはずです。私たちが、凍れる、凍れる、と家に籠るこの2月に、生き物たちはもう春を歌い始め、春を染め始めているのです。
 暦の上だけではなく、もう春は始まっていて、最も短い2月の出来栄えが、この一年の実りに直結するものかもしれないと思うと、気が引き締まる思いがします。
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今週のヒューエンス
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