水平線
ここは道東の静かなキャンプ場です。海の先には日本一大きな砂嘴が伸びていて、それに沿って置かれた電柱や建物の影が蜃気楼のように浮かんでいます。渡り鳥たちが羽を休めにやってくるには少し早い時期ですから、きっと今は静かなんだろうと思っていたのですが、遠浅の海にカモメやアオサギが絶えずやってきては、海に浮かんでみたり、すくっと立って何かに狙いを定めたりしています。
夜の海は、波の音が寄せるばかりかと思っていましたが、そうでもありませんでした。何かを憂いているような、何かに不満をもらしているような、カモメたちの話し声がすぐ近くから聞こえてきます。昼間は暑くても、夜はもうフリースやダウンジャケットが欠かせません。お米を炊く火で暖を取りつつ、そんな声を聞きます。
朝、鳥たちの声が一層大きくなる頃、はっと目が覚めて外を見ました。正面が明るくなり始めていて、まさに太陽が顔を出しそうです。辛くも日の出に間に合った自分の体内時計に感謝しながら、カメラを向けます。いつもならまだ夢の中だったかもしれない時間ですが、オレンジの光が空を貫く瞬間を、静かに待つ人たちが周りにも沢山いました。
カメラの機能で水平を慎重に合わせているつもりなのに、何度撮っても、どうも水平線が真っ直ぐになりません。あぁ~、地球は丸いんだ・・・。カメラはちゃんとそれを知っていました。