磯遊び
夏はもっぱら山にばかり足が向く私も、近ごろは海へ行く機会が多くなっていました。オホーツク海のある浜辺で、小学生ぐらいの子供たちと大人たちが何やら磯の岩場を熱心に覗き込んでいるのを見つけ、興味をそそられて自分も覗きに行きました。昆布がゆらゆらと揺れる海の中は、さぞや良い出汁が出てそうだなどと思うものの、動く生き物は見つかりません。先ほどの子供が後ろからやってきました。手には自作の釣り竿のようなものを持っていて、それを岩の隙間から海面へ下ろしていました。次の瞬間「釣れたー!」と大きな声。濃い緑色のカニが、糸の先をしっかりつかんでいました。聞けば、子供たちはホタテのひもを餌にしたカニ釣りが大好きなんだとのこと。見るからに楽しそうで、「競争だ」などと誰かが言い出したら、大人でもムキになってのめり込んでしまいそうです。
次に来る時は、自分もホタテと釣り竿をもって来ようと心に留めて振り返ると、小さな鳥の群れが浜に降り立つのがみえました。見るからに、山にはいない種類のようです。でも、その姿は小石が積み重なった浜にあっという間に馴染んでしまい、肉眼では見つけることができません。望遠レンズを通してやっと見つけました。トウネンのようです。こちらの視界を把握しているのか、見つけたと思った途端、ちょこちょこと歩いて逃げます。歩いていても、スズメとそう変わらない大きさでまだら模様の羽をもったトウネンは、一度見失ってしまうと再び探し出すのに骨が折れます。飛んでしまえばいくらでも遠くに行けそうだと思うのですが、もしかしたら飛ぶことで天敵に見つかりやすくなることもあるのかもしれません。ひたすらに、ちょこちょこと歩いて逃げようとする姿は何だか健気で、迷惑と分かっていてもつい追いかけてしまいたくなります。
やっぱり磯遊びも楽しいと改めて思い出しました。十勝にもそんな磯があるのかどうか、今度調べてみようと思います。