最高の2枚目
出張編を書いている間に、季節はすっかり進んでいました。落葉樹はどれもすっかり枝ばかりになり、立ち枯れた草も落ち葉たちも、色味も水分も失い、ただカラカラ、カサカサと音を響かせています。
冬の初めの畑は静かで、トラクターの跡がきれいに縞模様を描いています。その奥に並んだ山の重なりがきれいでつい一枚。この後も、何枚か構図を変えて撮っているのですが、やっぱり最初に撮った一枚が一番よく思えます。そんなことを、以前もこの今週のヒューエンスに書いた気がするな、などと思い振り返っていたら、それは2014年のことでした。かれこれ10年近くも経とうとしているけれど、まだそこから抜け出せていないのかと、微妙な気持ちです。
最初の一枚が一番良く見えるのはどうしてか、それは最近では何となくわかるような気もしています。一枚目には、「この景色いい!」そう思った瞬間の気持ちが込められているからかな、と。ピントがちょっと甘くても、何かいい。
でも、2枚目はいつも、「もっといい一枚を」と思って構図を整えたり、露出を変えたりしてシャッターを切っているのですから、どうしてイマイチになってしまうのかは不思議でなりません。私の好きな写真家の先生は、お弟子さんに「毎日500枚の“売れる”写真を撮ってくる」ことを課したと聞いたことがあります。想像しただけで目が回りそうです。どうしたら最初の1枚をしのぐ2枚目が撮れるのか、私にはまだつかめませんが、きっと最高の2枚目を撮り続けられる人たちがプロなんだろうな、と思うのです。